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藤巻 秀; 河地 有木; 鈴井 伸郎; 石井 里美; 尹 永根; 栗田 圭輔
no journal, ,
農業の本質は、大気や土壌等に分散した栄養元素を、植物の収穫部位に有機物やミネラルの形で効率よく集積させることにあり、有害元素の場合はその逆である。我々が開発してきた「植物RIイメージング技術」とは、この営みの鍵を握る植物の元素輸送機能を直接捉えようとするものである。我々は過去5年ほどの間に、作物における有害なカドミウムの経根吸収と移行、光合成産物の転流に対する外部環境の影響など、植物の元素輸送機能に関わる様々な農学的な問いに取り組んできた。さらに近年、植物用ガンマカメラ、植物用コンプトンカメラといった新しい計測技術を開発し、研究の自由度が拡がりつつある。かつて、ヒトを対象としたRIイメージング技術であるPET(ポジトロン放出断層撮影法)が発展し、がんなどの診断を行う今日の「核医学」が形成された。今、我々はこれに倣い、植物を対象としたRIイメージング技術を発展させることにより、作物における元素動態を評価・解析(診断)し、栽培の最適化(治療)の指針を与える「核農学」という分野の形成を目指している。
鈴井 伸郎; 尹 永根; 石井 里美; 栗田 圭輔; 河地 有木; 藤巻 秀
no journal, ,
原子力機構では、炭素(C), 窒素(N), 鉄(Fe), カドミウム(Cd)などのポジトロン放出核種とポジトロンイメージング装置を用いて、生きた植物体内における栄養・有害元素の動きを非破壊的に可視化する研究を行っている。多くのポジトロン放出核種は、サイクロトロンで発生させたイオンビームを用いて自ら製造・精製する必要があることから、他の研究機関において同様のイメージングを実施することが困難な状況である。一方、ナトリウムと亜鉛には購入可能なポジトロン放出核種(Na, Zn)があり、ポジトロンイメージング装置もまた、購入可能な計測装置である。本発表では、ナトリウムと亜鉛の非破壊イメージングの研究例を紹介すると共に、サイクロトロンを持たない研究機関での元素の非破壊イメージングの実現可能性についても議論する。
石井 陽平*; 鈴井 伸郎; 河地 有木; 尹 永根; 石井 里美; 栗田 圭輔; 藤巻 秀; 草野 博彰*; 島田 浩章*
no journal, ,
人間が食物として収穫する果実や根が同化産物を貯蔵する能力はシンク能力と呼ばれ、葉などが光合成を行う能力であるソース能力と対比して考えられている。ソース能力については生育との関係が多く研究されており、例えば、高CO環境下では光合成が促進され生育速度が上がることが分かっている。一方、シンク能力については生育との関係があまり研究されていない。そこで本研究ではシンク能力に関係する遺伝子の変異株を高CO環境において生育させ、シンク能力と生育との関係に高COが及ぼす影響を調べた。その結果、いくつかの変異株が野生型とは異なる生育を示したが、その差異はCOの濃度によって変化していた。よって、シンク能力と生育の相互関係の変化には、意外にも、外部のCO濃度が影響を及ぼすことが分かった。今後は高COにおけるソース器官とシンク器官の関係を調べるために、PETISを用いて光合成によって生産される同化産物の動きを見く予定である。
河地 有木; 鈴井 伸郎; 石井 里美; 尹 永根; 栗田 圭輔; 石井 陽平*; 島田 浩章*; 藤巻 秀
no journal, ,
放射線計測技術は、生命科学研究における一つの優れた分析技術である。これを用いた生体の生理機能を解析する様々な実験方法が生み出され、植物研究の分野において数多くの成果が生み出されてきた。特に、放射性同位元素を用いて、栄養元素もしくは環境汚染物質が植物体内を移行していく動きを追跡し、その動態を解明する技術は、現在も日々大きな進化を見せている。植物の吸収・移行・蓄積といった多様な物質動態が、様々な外的要因から受ける影響を明らかにすることが、農学上の植物研究の一つの目標となっている。この目標を達成できる強力なツールが放射線イメージング技術である。原子力機構で開発されてきた、「RIを生きた植物体に投与し、そのRIの分布と動きを、放射線計測技術を駆使して可視化する」というコンセプトを実現させた様々な放射線イメージング技術とその応用研究を本発表で紹介する。それぞれの測定原理を概説し、植物研究を目的とした放射線イメージング技術の今後のあるべき姿を展望したい。
尹 永根; 鈴井 伸郎; 河地 有木; 石井 里美; 栗田 圭輔; 中村 卓司*; 信濃 卓郎*; 藤巻 秀
no journal, ,
植物は、根圏と呼ばれる根の周囲数ミリメートルの土壌中に存在する栄養元素を吸収し、利用している。根が直接吸収できる栄養元素は、土壌溶液中に溶解しているもののみであるが、リンや鉄など一部の栄養元素は、そのほとんどが植物が吸収できない難溶性の状態で土壌中に存在している。これらを可溶化するために、根が根圏土壌へ有機酸などを分泌していることはよく知られている。しかし、その制御機構については未だ不明な点が多い。我々は、炭素11(半減期20分)で標識した二酸化炭素(CO)とポジトロンイメージング技術を利用し、根を破壊することなく、光合成産物の根系への転流と有機物等の根圏への分泌を観測することで、根における分泌の制御機構の解明を目指している。本発表では、根が根圏土壌へ分泌した有機物を可視化する技術について述べる。
石井 里美; 尹 永根; Hung, N. V. P.*; 鈴井 伸郎; 河地 有木; 大竹 憲邦*; 大山 卓爾*; 藤巻 秀
no journal, ,
ダイズ等のマメ科植物は、根に根粒を形成し、根粒菌と共生することで、気体の窒素を固定するという、特有の窒素栄養の獲得機能をもつ。われわれは、窒素の唯一利用可能な放射性同位体であるNと、生きた植物中の元素の動きを非破壊的に可視化できるポジトロンイメージング装置を用いて、ダイズの窒素固定機能と固定した窒素化合物の輸送機能を解明することを目指している。Nの半減期は約10分であり非常に減衰が速いが、これまでに、イメージングに必要な高放射能のN標識窒素ガス([ N]N)を短時間で製造・精製し植物体に投与する技術を開発し、ポジトロンイメージング装置によってダイズの窒素固定の様子と固定窒素の移動を画像化することに成功している。また、画像データより、窒素が固定されてから1時間以内という初期の段階における、固定窒素の移動速度と分配パターンを明らかにした。
栗田 圭輔; 河地 有木; 尹 永根; 鈴井 伸郎; 石井 里美; 渡部 浩司*; 山本 誠一*; 藤巻 秀
no journal, ,
チェレンコフイメージング技術は、荷電粒子が物質中を通過する際、荷電粒子の速度が物質中での光の速度を超えたときに生じるチェレンコフ光をCCDカメラ等で捉えることで、放射性同位元素(RI)のイメージングを行う手法である。我々はこの技術を用いて、植物体内における放射性セシウム動態をイメージングする技術の開発を行っている。チェレンコフ光は可視光であるため、高エネルギーの線を直接計測する従来のRIイメージング技術では困難であった、光学レンズを用いた像の拡大・縮小が容易となり、これを利用した空間分解能の向上が期待できる。本報告では、線放出核種であるCs-137を吸収させたろ紙の小片、またはCs-137溶液を経根吸収させたダイズ( [L.] Merr. cv. Jack)から発せられるチェレンコフ光を、高感度CCDカメラ(ORCA2-ER, 浜松ホトニクス製)で撮像した結果を示し、植物チェレンコフイメージング技術の有用性について議論を行う。